中村勝己建築設計事務所

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はじめに


家は建ててしまった後に、ここはああすれば良かったと思うことも少なくないという話をよく聞きます。完成品を体感できないのが建築の欠点でもあります。分からないことが多いのでおまかせにしがちですが、納得するまで細部をシミュレーションし、イメージしていくことはとても大切です。


施主側がおまかせではなく真剣に細部までこだわっていくことで、その気持ちが設計側に伝わりどちらも真剣勝負となります。また時間をかけることで良い家が出きるものです。大金をかけ、一般的には、少なくとも30〜40年は住むことになるわけですから、数ヶ月ましてや数回の打ち合わせを持っただけで完成させるなんてもったいない話です。たとえ一年近くかかったとしても、これから住み続ける長い年月の一部だと思えば、後から振り返ってもたいした時間ではないものです。

何よりも家づくりを楽しむ事が一番大切だと思います。

予算が決まっていますから、あれもこれもと欲張りすぎや、あまり細かいことにこだわらず、なにか一本筋の通った空間があればそれで良いものです。いたれりつくせりよりも、多少不便でも、こだわりのある空間は何にもまして気持ちの良いものです。くつろぎや元気の源となるでしょう。
イメージを掴む

・ どのような感じで生活したいか?

・ ライフスタイルを考える。

・ 住み方の希望や要望を、何でもよいから書き出してみる。
(生活の小さな事柄でも何でもよい。出来るだけ多いことが重要。建築は予算に非常に左右されやすいので、多くの事柄や項目の中からプライオリティが決まる。)

・ そのライフスタイルを設計士に漠然と話してみる。雑談をしていると設計士がイメージしやすい。  

・ 好き嫌いなど好みは人それぞれあるので、具体的なイメージを設計士に提示してもらう(例えば施工例や、壁、床材のサンプルなどを見ることでお互いのイメージが近づく)

・ 身近にある雑誌の切抜きなどをファイルすることで、具体的なイメージを掴むなどが挙げられます。

また、将来の家族構成や生活スタイルの変化も見据えて、最初から全て決めずに、ルーズに造っておくのも1つの方法です。
要望を伝える 

流行に左右されることのない、飽きのこない間取りや構成部材、だんだんと増えてくる雑多な生活用品に負けない力強い空間。

壁一面の大収納など、豊かな生活を送るアイテムは様々です。

具体的に要望がまとまり伝え、設計士のアイデア、提案がしぼりだされオリジナルな世界にたった1つの家が生まれます。

忘れてはならないのが、光や風といった自然をどうやって取り込んでいくか、これは住んで初めて感じる事柄なので後にならないと分からないことですが、非常に重要です。

・ 室内に光があふれ、風通し良く生活できる

・ キッチンはアイランド型が良い、独立したダイニングがほしい

・ システムキッチンでは嫌だ、天板に凝りたい……など

・ 家族同士の距離感をどうとるか

・ 収納について

・ バルコニーやテラスや光庭について

・ 掃除のしやすさ、建物のメンテナンスについて

・ 建築材料について(建築は多くの材料で構成されるので)

・ 自然素材について(アトピーや喘息の緩和が設計や建材で可能)

設計士にとっては、間取り程度の話やイラストで充分ヒントになりますので、何でも伝えたほうがよいと思います。
周辺環境のこと

敷地を含めた地形を読み解くことから設計は始まるといっても過言ではないです。

建物は単独で存在するものではなく、周辺の環境に大きく左右されますので、周辺環境の観察と将来の変化の予測が必要です。

変化を見越して設計をすることで、将来に渡る快適な生活が約束されるのです。

・ 隣地が同時に建設であれば図面で判断する

・ 既存建築物の形、窓の位置
(窓が向かい合ってお見合いしていないか?)

・ 現状は、光が充分に入っているが、近い将来の近隣の変化に対応できるか、将来にわたり採光と通風が確保できるか

・  近隣からのプライバシーの確保ができているか
法規的なこと 

・ 建築基準法で制限される用途地域や高さ制限など、その土地において規制されること(北側斜線制限、セットバックなど)建蔽率や容積率など(特に容積緩和と高度地区は重要))その他、特別な規制

これらを把握することで、その土地の空間占有領域が確認できます。
(街中でよく見かける、北側の屋根が斜めに削れたようになっているものなど)。逆に、法規的な制約が設計に都合良く働く場合もあるので、あきらめずに相談してください。

また当たり前のことですが、打ち合せを行う場合は、平面図だけでなく立面図、断面図、立体模型(内部空間が把握できるようなものでないと意味がない)を用いて総合的に建物を捉えるようにします。くれぐれも平面図だけで話の進むことがないように。
 
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